お店の見方が変わる!つくり手目線で見る店舗デザイン

モスカフェ

大手ならではのエリート立地戦略

視察に訪れたのは「モスカフェ西銀座店」。銀座のほぼ中心(銀座4丁目)に位置し、各鉄道からのアクセスも抜群に良い場所です。
なにより大きなデパートの、道路に面した店舗で、待ち合わせや買い物の休憩などで、どの時間帯も席はお客さんで埋め尽くされています。
最初に訪れたのは平日の午前11時30分。店内で空いている席は見当たりません。
出直して同日午後2時。少し空いてはいたものの、やっとのことで座ることができました。

既存モデルから一線を画したデザイン

店舗全体のデザインで大きな特徴は、「スキップフロア」を採用していることです。
おそらく、躯体の形状からみても意図した設計思想が伺われます。
「スキップフロア」とは、床を同じ高さに揃えず、部屋ごと・区画ごとにフロアの高さを変えて、その高さが違うフロアを繋ぎながら徐々に上層階へと結んでいく空間構成のことです。部屋によって天井の高さが違う場合にもスキップフロアは採用される場合があります。

通路の壁には、モスバーガーのトレードマークと言えるモザイクタイルを使っていて、通路を抜けるとスキップフロアに辿りつきます。
また1段上がると片方は大きな窓になっていて、さらに1段上ったフロアは、天井が低くなっていますが、天井の仕上げを木目調にして圧迫感をなくしています。

照明にいたっては、間接照明が壁と天井に使われており、天井の照明は四角形のモニュメントの上から天井に向けて設置していて、やわらかい明るさを演出しているところに、こだわりを感じました。
壁には四角形のモニュメントがあり、それに光をあてて、影を面白く見せて遊び心もプラスされた空間になっています。


また細かい部分にも配慮があります。
段差の部分には、「ノンスリップ」が通常の倍の幅でつけられており、これなら雨の日でも靴が滑りにくく、女性のブーツでの利用や、小さい子供の利用が想定されていました。
ちなみに、「ノンスリップ」とは階段の滑り止めですが、これは先端の破損、摩耗防止という役目も持っています。
また、柱の角が面取りしてあり、ぶつかってもけがしないような配慮があります。
席に座ると、壁側の席は背もたれが首の後ろまであり、くつろぎやすい工夫がありました。トイレにもかわいい小物がありました。
全体的に緑を中心とした薄い色使いが多く、体に良い製品をイメージさせる色調でした。女性が好む、なんとも穏やかな雰囲気が漂っていました。内装が女性の間で話題になり、ブログや口コミでの集客効果も考えられているのだなと思います。

ファーストフードからカフェへ

デザインから色あいのおだやかさ、また全体から細部に至るまで細やかな配慮があり、従来の「ファーストフード」とは違った印象の店内でした。立地とデザインから女性がくつろげる「カフェ」として、モスブランドの見事な新コンセプトの旗艦店だと思いました。

【店舗情報】
店舗名:モスカフェ西銀座店
所在地:東京都中央区銀座四丁目1番先(西銀座デパート1階 高速道路下)
営業時間:午前7:00~午後11:00
アクセス:JR山手線 有楽町駅下車 銀座口より徒歩3分 東京メトロ銀座駅 C7出口より直結

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