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デザイナー紹介

株式会社ストリーム 見留 徹氏

提案はストーリーを伝えること

何よりもお客様の想いを大切にし、細部まで行き届いたデザインで定評がある株式会社ストリーム見留氏。明るく、会う人を和ませるキャラクターで、リピーターも多い。そこには、デザイン同様きめ細やかな配慮が満ちている。最新のデザインに挑戦しながら、「変わらず長く愛される空間づくり」を目指す取り組み姿勢についてお話しを伺った。

株式会社ストリーム 見留 徹氏

見留 徹Mitome Tohru

2003年よりデザイン活動を開始。
当初より対外的な活動を中心にし、インテリアデザイン・建築設計事務所を経て
2006年7月にフリーランス活動開始。
2008年4月活動の幅を広げるためグラフィックデザイナー等と共に株式会社ストリーム設立

これまでの実績、よく手がけている業態、独立前の仕事なども含めて、強みなど教えてください。

見留:あえていうとレストランなど飲食店が得意ですが、いろいろな業態を手がけています。内装の仕事へのきっかけは、ウィンドウディスプレイの仕事を始めたことで、細かいところから大きなところへシフトしていったという感じです。ショーケースという限られた小さい空間の中で、「いかに人を立ち止まらせることができるか」をずっと考えていたので、よりきめ細かなデザインの思い入れを、空間に込めることが得意です。

見留さんのきめ細やかな配慮というのは、この経験で培われているのですね。特にどんなディスプレイをしていたのですか。

見留:主に洋菓子屋さんです。 ディスプレイの仕事を通じて、人がどこを見るのかがわかるようになり、重視するデザインのポイントを決め、適切に予算配分できることが強みになっていると思います。

デザインの力で、人が目を向ける場所をコントロールしているのですね。デザインするときに、特に大事にしていることは何ですか。

見留:やはり、コストバランスと素材感ですね。 このくらいの予算だとこんな感じなのか、と思われないように、お客様が想像しているよりもワンランク上のデザインを提供できるよう心がけています。 自分がその空間を好きになれるかどうかがポイントで、自分が分からないデザイン、「これカッコいいのかな、おしゃれなのかな」と疑問符がつく物は避けたいです。

仕事の進め方はどのようにされていますか。

見留:打合せは出来る限り多くとるようにしています。 一番大切にしているのはヒアリング、お客様がこうしたいというオリエンテーションです。 そこを誤ると、でき上がってからイメージの相違がおきてしまい、「使い勝手はいいけど、ちょっと違う」という印象をもたれることになりますから。

お客様が自分のイメージを伝えにくい、どう説明したらよいかわからない、ということもあると思いますが、その場合はどのように引き出しますか。

見留:身近な話に置き換えてみます。例えば映画だったり、好きなお店だったり、自分のデザインとは関係の無いところから、お客様がイメージしている空気感を聞き出すことに力を使います。

プレゼンの仕方については何か工夫している点などありますか。

見留:ただ提案する、というのではなくて「この形、このデザインになったプロセス」をしっかりと伝えるようにしています。お客様の想いと、出てきたもののストーリーを綴っていくように「今の状況には、これがベスト」という理由をお話しします。 プレゼンはお客様へのプレゼントだと思っているので、お客様がこういうのが来るだろうと想像しているプラスアルファを加え、プロに頼むとこうなるんだな、と実感していただきたい。パースなら空間のイメージを伝えるだけじゃなく、その雰囲気が出るような絵を描く感じ、模型をつくるなら、細部までこだわったものにするなど、自分ができるかぎりで、表現したいと思っています。

コストコントロールについてはどのようにしていますか。

見留:もし予算を下げなければいけない状況になったとき、素材を変えるのはもちろんだと思いますが、例え質感が下がったとしても、お客様と自分で確立した一番大切なものが崩れないようにします。最初から※VE(バリュー・エンジニアリング)のことも意識して、「この素材を使いたいけれど、素材が変わったらおしまい」とならないコンセプトメイクすることを重要視しています。

現場の進め方について教えてください。

見留:職人さんの名前を覚えて、楽しくできるようにします。 コミュニケーションをうまくとることで、言いたいこともいえるようになりますし、お客様のイメージに近づけるための多少の無理も聞いてもらえるようになります。その中で、必要な厳しさも忘れないで進めていくように努力しています。

デザインフィーについてはどのように考えますか。

見留:これだけやってこれだけもらえる、というボーダーラインは持たないようにしています。いろいろな状況があると思いますので、適正な形でご相談できればと思っています。

これまで手掛けた中で、特に印象に残っている仕事について教えてください。

見留:やはり、初めに手掛けた仕事が印象深いですね。和風居酒屋の内装だったのですが、わからないことだらけの上に、家具とかも全然間に合わなくてすごい大変でしたが、周りの職人さんに助けてもらい、みんなの力があって、効率的にいいものを作れるということを学びました。

もし見留さんが自分でレストランを作るとしたら、どんなお店が理想ですか。

見留:そうですね。デザイナーとしては真新しいデザインにも挑戦したいというのがありますが、オーナーとしては何十年も変わらない雰囲気にしたいですから、二つの視点がうまく融合したレストランを作りたいです。 五十年、百年経っても、たとえ経営者が変わっても、代々愛されるようなお店ですね。 「お寺」みたいなイメージです。

確かにお寺は代々続いていますからね。でもお店で「お寺みたい」というのは、とてもおもしろいと思います。

見留:長く続くことで独特の趣が出てきます。そのお店が成功なのか失敗なのか、何十年後かにわかる感じがいいです。

ご自身が客として訪れたお店で気に入っているところはありますか。

見留:実家の近所のお好み焼屋さんです。ことばで説明できないところがいいんですよ(笑)。空間と、そこで働く人と、お客さんがマッチしている感じというんですか。どこも飛び出ていないし、どこもへこんでいない、絶妙なバランスが気に入っています。

尊敬するデザイナー、目標にしているデザイナーがいたら教えてください。

見留:好きなデザイナーはたくさんいすぎて、言えないですね。(笑)作品としてはやはり、長い歴史を感じさせる寺院などが良いですね。小さいときに遊んでいた神社のデザインは大好きです。

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